企業で働く看護師の研修会・セミナー活用法
企業の健康管理室で働く看護師は、もっぱら従業員を対象に仕事を行うことになります。また、多くの企業では非常に限られた人数で健康管理室を維持していることが多く、産業看護師はどうしても狭い世界で働くことを余儀なくされます。同僚は1人、2人いればまだよいところ、下手すれば自分ひとりだけ、というケースも多いのです。この点は数十人、数百人の同僚と働くことになる医療機関の看護師に比べて大きな不利になります。大勢の同僚がいることは人間関係の軋轢をもたらす原因になるものの、情報交換や人脈形成の機会を用意してくれますし、何より励ましあい、刺激しあうことで働くモチベーションを維持することができるのです。
では企業の健康管理室で働く看護師が他の看護師と交流し、人脈を築き上げていくためにはどういった方法があるのでしょうか。複数の職場を渡り歩く、あるいは掛け持ちをするといった選択肢がまずあるでしょう。しかしそれ以上に効果的にお勧めとなるのがセミナーや研修、交流会への参加です。看護師を対象としたセミナーは全国各地で開催されています。もちろん産業看護師も参加が可能ですから、医療機関で働く看護師との交流を得ることができます。医療の現場ではどういった変化が起こっているのか、将来医療機関へ戻ることを考えている人にとっては、とくに重要な機会となるでしょう。逆に産業看護師への転職を考えている人に対して適切な情報を提供することができるはず。人脈を作るだけでなく、情報交換の場としても魅力的です。
また、産業看護師を対象としたセミナーや交流会もあります。日本産業衛生学会や産業保健推進センターなどが実施しているもので、日ごろ交流する機会がほとんどない産業看護師同士が集まり、情報交換を行う貴重な機会となっています。産業看護師の場合、雇う企業ごとに就業環境や待遇に大きな違いが見られるだけに、こうした場での情報交換は自分の職場が本当に相応しいのかを確認する機会になります。またほかの産業看護師の考えや仕事に対する理念を聞くことで自分の仕事に役立てることもできるでしょう。